中高一貫教育の最大のメリットは6年後を見据えた統合カリキュラムにより継続的、効率的に学習できる点にあります。
大学入試改革の基本となる新学力観では、これまでの知識・技能の習得はそのままに、加えて、多様な能力や人間としての成長が求められています。
通常、中学校の目標は高校入試ですから、高校入学後に3年間でこういった力を身に付けるには大きな負担がかかります。
本校の総合カリキュラムは6年間の計画的学習の中で、新しい大学入試や次世代に必要とされる力を着実に身に付けるように作られています。
新学力観の大前提として、知識・技能の習得が求められていることはこれまでと変わりはありません。本校では中学1年次から7時間授業を行い、土曜日も授業を実施します。文部科学省の定める学習指導要領では中学校年間最低授業時数を1,015時間としていますが、本校ではその1.5倍にあたる年間1,500時間の学習を行います。
学習合宿 | 生活力と精神力を鍛え、困難から逃げない気概を作るため、中高合同で年2回実施。
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校外模試 | 全国のライバルたちと切磋琢磨して、自分の実力を確かめる。
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主要5教科における公立校との実授業時間比較
※本校の学習時間は「授業時間」と「放課後補講」を合わせた時間です。長期休業中の課外は含まれていません。
※中学校は、授業時間数を単位(1週間あたりの授業時数)に換算してあります。
※「教科」は、中学校と高校では名称が変更になったり、また科目に分かれますが、ここでは該当科目の合計として計算してあります。
小学校4年生から放課後や休日には学習塾に通う首都圏と異なり、成蹊中に入学する生徒のほとんどは普通の小学校で学び、放課後や休日は友人と遊んだり家族と過ごしたり、のびのびと生活してきた子どもたちです。しかし、そんな子どもたちが中学校・高校の6年間で、入学時には想像しなかったような自己実現を果たします。中学から高校にかけての期間は青年期の前半にあたり、人間が身体的、心理的、社会的に大きく成長する時期です。
本校では発達過程に合わせて6年間を3つの段階に分けています。中学1・2年の前期教育期間で価値観や生活習慣をしっかりと身に付けることで人間としての「土台」を作り、そこから中期、後期教育期間と経験値を高めていくことで、受験や社会に出てからの困難に立ち向かうことのできる精神力、生活力を養います。
朝読書のススメ
前期教育期間(中学1・2年)では毎朝30分の読書を行っており、100冊の推奨図書を定めています。これらは「伝記」「自然科学」「社会科学」「人文科学」「読み物」の5つの分野から成り、多くの世界へ興味関心を拓きます。
プレゼンテーション能力の向上
社会生活の基礎となるコミュニケーション力を磨くために、本校では中学校課程でプレゼンテーションの機会を多く設定し、基礎学力の一つとして育んでいます。一人ひとりが主体的に考え、討論し、発表する活動を、タブレットやプレゼンテーションソフトの活用も含め、行っています。
ICTが促進するアクティブ・ラーニング
本校では校舎全体にWi-Fiを完備し、全ての教室やスペースで1人1台のタブレットを使用した活動を行うことができます。また、ICTを活かす学習サポートシステムの導入により、効果的なアクティブ・ラーニングの推進が可能になっています。
実践的な難関大入試演習
高校3年生で難関大学合格に必要な質と量ともに徹底した演習を行います。一人ひとりの合格に必要な課題を見つけ、志望大学合格へと導きます。
英語力と知的教養を向上
授業では単語や文法、構文などの基礎を徹底し、大学受験突破に必要な力を養います。また英語という言語そのものの起源や文化背景を深く掘り下げながら知的教養を身につけられるよう、工夫して教材を選んでいます。
Message広く学び、深く考えよう!
大学入試に出題される長文のテーマが、ここ2年で大きく変化しています。私たち現生人類の起源と歴史を見つめ直すものが多い印象です。英語という媒体を通して、今私たちが直面する問題に、広い視野と深い洞察力で立ち向かっていける力を習得してほしいです。
石澤 直樹Naoki Ishizawa
高校2年 桑島 鼓太郎
[伊達市立掛田小学校出身]
Real Voice英文を読むことが楽しくなる
多くの英文を読む石澤先生のハイレベルな授業のおかげで、入試に向けた学力はもちろん速読力も向上し、英文を読むことが楽しく感じられます。また、よく計画された授業に影響を受け、僕も定期考査や模試などの日程を考慮した計画的な勉強ができるようになりました。同時に、さまざまな教養を身につけることもできました。
基礎を固めて苦手を克服
数学は大学受験において重要科目である一方、理解と定着に時間がかかり苦手とする生徒も多いです。そのため根拠を示しながら解説し、基礎となる計算や理論を正確に理解できる指導を心がけています。
Message頑張った時間は宝物
難しい問題になるほど、解答のインスピレーションは簡単には湧きません。何度も何度も時間と戦いながら、2時間を最小単位とするような学習を行ってほしいです。誠実にごまかさず取り組めば、後々役立つことがあると気づくはずです。
上埜 健太Kenta Ueno
中学2年 髙橋 心優
[桜の聖母学院小学校出身]
Real Voice基礎からハイレベルまで
上埜先生は厳しくもあり優しくもあって、私たちに根気強く数学を教えてくださる素敵な先生です。数学の基礎などの説明にハイレベルな話を織り交ぜてくださり、勉強になります。これから大学入試レベルの問題が解けるようになるために、問題を解く時には「なぜこうなるのか」を意識して授業を受けたり、問題を解いたりしたいです。
興味関心が深まる授業
大学入試で通用する国語力と、これからの時代に必要な感性と表現の育成を中心とした授業を行っています。生徒が豊かな語彙力と知識を身につけ、言語そのものに対する興味関心が深められるよう心がけています。
Message自分の意志で学んでいこう
何を学ぶのかを生徒自身が考え、理解した上で学習に臨む。そうした主体的学習を通して多様な考えを知り、自らの考えを確立してほしいです。そうすれば、幅広い人間理解と豊かな感性、自分の言葉で表現する力が育め、人間的成長につながると考えています。
齋藤 光Teru Saito
深いレベルで学問を追求
中高の6年間を通して、より深い内容を伝えています。例えば、高校の指導内容を超えて最新の研究内容などを紹介することで生徒の興味・関心が高まり、自分の考えの構築に役立てられるような指導を意識しています。
Message自分の世界観を広げよう
「学び」とは「思考」の成長であり、「世界観(認識)」を発展させていくことです。生徒自身が新たな知識や考え方に触れた時は、意識して自分の世界観が拡大していくことを楽しみながら、学びに向かって欲しいと期待します。
石井 智憲Tomonori Ishii
6年後も続いていく学びを
中学・高校で学ぶ理科は、その分野の発展の歴史をたどるところから始まり、2000年前後で発見された自然界の法則を学びます。科学者らが残した数々の発見を理解し、6年後も続いていくような授業になるよう心がけています。
Message思考する楽しさと喜び
私が受け持つ物理学の世界では、基本的な数学の能力さえ身についてしまえば、身の回りの物理現象を数式で表せたり、運動している物体が数秒後にどのようになるか予想できたりするようになります。物理学を学び、思考する楽しさや喜びを感じてほしいです。
藤田 大策Daisaku Fujita
本校では中学校課程の3年間で36泊50日、高校課程の3年間で31泊41日の宿泊行事があります。宿泊以外も含め、さまざまな鍛練的、運動的、文化的、探究的行事を通して、生徒は多くの経験を積み上げていきます。なかには失敗もありますが、そのときに、何がいけなかったのか、どうすれば良かったのかを深く考えることで主体的な姿勢が生まれ、友人と協働して困難を乗り越えることで大きな達成感を得ていきます。
中学校と高校の合同行事も中高一貫教育の強みです。学年を越えたつながりの中で、後輩は先輩の姿を通して自分の将来を見ることができ、また、先輩は後輩の模範としての自覚から、それぞれが大きく成長していきます。それぞれの経験をICT(タブレット等を用いた情報通信技術)を活用して記録に残していく(=キャリアパスポート)ことで、自己の成長を振り返ることを可能にし、大きな成果へとつなげていきます。
社会情勢によりスケジュールが変更になることがあります。
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苦手意識のあったスキー
コツをつかんで爽快に滑走
一番思い出に残っている学校行事は、スキー教室です。小学4年の時に一度スキーを体験しましたが、うまく滑れず苦手だと決めつけていました。しかし中学でのスキー教室では、先生方の指導のおかげでスピードをうまくコントロールでき、転ばずに滑れるようになりました。滑走コースを把握し、どこを滑れば転ばずに済むかを考えるのが、ゲームを攻略するような感覚で楽しかったです。次にスキーをする時は、技術向上を目指します。
中学3年
井砂 超
[国見町立国見小学校出身]
情報技術や交通の飛躍的発達によりグローバル化の進展はとどまることはありません。ボーダーレス化しつつある世界の中で、現在の子どもたちのほとんどは異文化の人々と自然にコミュニケーションをとり、共に働いたりすることでしょう。本校では国際理解教育を推進し、グローバル社会で活躍するための基礎作りを行っています。もちろん語学力も大切ですが、それ以前に人として異文化を理解する心や柔軟に考える力が必要だと考えます。
特定非営利活動法人
地球のステージ代表理事
桑山 紀彦先生
「地球のステージ」
東京女子医科大学
国際環境/熱帯医学講座
教授・講座主任
杉下智彦先生
「アフリカから考える
持続可能な開発目標(SDGs)」
リングイスト語学スクール代表
福島学院大学英語講師
伊藤 オディ先生
「日本人をやめ英語人へ」
カナダ(ビクトリア、バンクーバー)
英語でのプレゼンテーション、日本文化体験交流、一人1家庭のホームステイ など
カンボジア(シェムリアップ)・ベトナム(ホーチミン)
ベトナムからの留学生との交流(事前学習)、小学校訪問、日本文化体験交流 など
全員が実用英語技能検定を受験し中学校課程での2級取得を目標にしています。高校生では準1級を取得する生徒も出ています。
教育におけるリベラルアーツとは、「生きた、実践的な教養」を意味します。これまでの学力観では、正解を出せる人が評価されてきました。しかし現実の社会で起こっていることは、一つの正解を見いだすことが難しい問題ばかりです。グローバル社会の中では、民族も宗教も違う人たちが「自分の考えは正しい」と信じて争っています。そこでは「ひとつの正解」よりも「多様性の理解」がとても大切になり、そのためには自分のマインドで考え、自分のハートで感じ、自主的に判断し行動することが求められます。
リベラルアーツを咀嚼し、自分のものとして消化することで広い視野や独自の視点を獲得し、人生がより深く意義のあるものとなる、それこそが「生きる力」と言えるのではないでしょうか。
◆ 茶道教育
国際社会においては異文化を理解することはもちろん、自文化を伝えていくことも大切です。本校では裏千家助教授を講師に、敷地内の茶室「自蹊庵」にて6年間、茶道教育を実施し伝統文化継承の意識と礼儀作法を学びます。
◆ 芸術・文化体験
作品に触れ、メッセージを汲み取る力=想像力を鍛えることで感性が磨かれていきます。大切なのは「本物」に触れることです。それを見て何を感じ、想像が広がるのか今まで知識として知っていたことが、経験とリンクし、単なる知識が知恵になっていきます。
相手を認め理解することが国際理解の第一歩に
研修旅行は当初予定のカンボジア・ベトナムを変更し、長崎県を訪問しました。同じ日本ながら、福島とは異なる地域性を感じました。自分が知る世界の外には、国内外を問わず異なる文化や価値観を持つ人がいるのは当然です。大切なのは、彼らを否定せず認め合い、理解することです。言語の違いは最初の壁になり得ますが、相手の言葉が完全に理解できなくてもコミュニケーションは可能なことを、中学3年のカナダ研修旅行で学びました。
高校3年
服部 ひなた
[宮城県白石市立越河小学校出身]